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2026年09月24日

「焼肉の和民」で「居酒屋」使いは成立するのか?食べ放題×ワンコイン飲み放題を使い倒してみた話

「焼肉の和民」で「居酒屋」使いは成立するのか?食べ放題×ワンコイン飲み放題を使い倒してみた話

目次

  1. 第1章:「焼肉×居酒屋」というハイブリッドモデルの構造とファーストオーダーの検証

  2. 第2章:1杯目とファーストオーダー——馬肉ユッケ×ジムハイの即効性を検証

  3. 第3章:酒飲みの本命「ホルモン」へ——ハツ、レバーと、現場の誤配が生んだ「あさりバター」

  4. 第4章:脂と炭酸の回転率——シマチョウ、翠ジン(梅)、そして低原価で効く塩ホルモン×スパイス

  5. 第5章:〆と甘味の着地——背徳TKMとWデザートで客満足度はどう終わるか

  6. 第6章:【販促・CX分析】「焼肉×居酒屋」モデルの勝ちパターンと現場オペレーションへの示唆

第1章:「焼肉×居酒屋」というハイブリッドモデルの構造とファーストオーダーの検証

「焼肉店に行ったら、まずカルビやタン塩を焼き、白米とともに頬張る」——これが長年定着してきた従来の焼肉店の利用パターンだ。しかし、今回客として足を踏み入れた「焼肉の和民」が提示しているのは、そうした従来の枠組みとは大きく異なる。その本質は「本格的な焼肉設備を備えた、総合居酒屋の新しい進化形」であり、まさに「焼肉×居酒屋」というハイブリッドモデルのリアルな現場であった。

ワタミグループが長年培ってきた総合居酒屋のノウハウ(豊富なスピードメニュー、手仕込みのクオリティ、酒が進む味付け、豊富なドリンクラインナップ)に、無煙ロースターという強力な卓上加熱設備が組み合わさることで、どのような顧客体験(CX)と販促上の相乗効果が生まれるのか。身内として客観的な視点を保ちつつ、現場で起きている事象を検証してみた。

今回検証の対象としたのは、現場の満足度と注文の回転率を最も測りやすい定番の「食べ放題スタンダードコース」と、期間限定で展開されていた「ワンコイン(500円)アルコール飲み放題」の組み合わせだ。500円という価格設定は客側から見れば驚異的なコストパフォーマンスであり、店舗側から見ればドリンクの提供スピードと「お酒が進むアテの提案」によって顧客満足度を爆発させる勝負どころとなる。

着席後、卓上のタッチパネルを開き、居酒屋利用の動線を探るべく最初に注文したラインナップは以下の通りである。

  • ファーストドリンク:ジムビームハイボール(ジムハイ)

  • スピードおつまみ:枝豆、エイヒレ

  • こだわり箸休め:店内仕込みのオイキムチ

  • フェア限定の逸品:馬肉のユッケ

普通の焼肉客であれば、まず肉のページを開いてカルビやタン塩から頼むのが一般的だが、今回はあえて「居酒屋使い」としてのポテンシャルを測るため、肉を焼き始める前におつまみ系で卓上を固めてみた。

冷えたジムハイボールが運ばれ、喉を鳴らして一口飲み、枝豆を突っつく。網の上にはまだ炭も肉も載っていない状態だが、手元に馴染みのある居酒屋メニューがあるだけで、「まずはビールやハイボールで乾杯して落ち着く」という居酒屋本来の動作がスムーズに成立する。

特に品質の良さを実感したのが「店内仕込みのオイキムチ」だ。セントラルキッチンから届く既製品のキムチは、どうしても水分が抜けてしんなりしがちだが、店内で漬け込まれたきゅうりはシャキッとしたみずみずしい食感がしっかり残っている。適度な塩気と酸味、後から追いかけてくる辛味が絶妙で、これ単体でハイボールが1杯空いてしまいそうな完成度だ。

従来の焼肉店における最大のボトルネックは「最初の肉が届き、網の上で焼き上がるまでの数分間の空白時間」である。しかし「焼肉の和民」では、居酒屋ならではのスピードメニューと丁寧な仕込みアイテムによって、この空白時間が「居酒屋としてお酒を楽しむ至福の時間」へと鮮やかに変換されていた。この「焼肉×居酒屋」の最初の組み立てこそが、客の心を最初から掴む大きな鍵となっている。

第2章:1杯目とファーストオーダー——馬肉ユッケ×ジムハイの即効性を検証

枝豆とオイキムチをつまみながら店内を見渡していると、卓上の特急レーンが滑らかな音を立てて稼働し、注文したフェア限定商品「馬肉のユッケ」が流れてきた。

注文から提供までの体感時間は極めて短く、非接触レーンによってストレスなく手元に届く。このスピード感は、居酒屋利用において「1杯目の酒をどう美味しく飲ませるか」を左右する極めて重要な要素だ。

「生肉×強炭酸」が仕掛けるスタートダッシュのロジック

運ばれてきた馬肉ユッケは、中央に艶やかな生卵が鎮座する食欲をそそるビジュアルだ。箸で卵黄を崩し、濃密な甘辛ダレと馬肉にしっかりと絡めて口へ運ぶ。

ねっとりとした馬肉特有の旨味と、卵黄のまろやかさ、そして濃い目のタレが舌の上に広がる。生肉ならではの贅沢感とタレのパンチ力は、客に「肉を食べに来た」という満足感を一瞬で与えてくれる。

そこですかさず、冷えた「ジムビームハイボール」を流し込む。

  1. タレの濃密なコクと旨味が口いっぱいに広がる

  2. 強炭酸とウイスキーのキレのある苦味がタレの重さをサッと洗い流す

  3. 口の中がクリアになり、自然と次の一口、次の1杯へと手が伸びる

この「濃い目のタレ×強炭酸ハイボール」による口内リセットのサイクルは、酒飲みにとって抗えない快感ループを作り出す。滞在開始わずか数分で、客の脳内には「今日の店選びは大正解だった」という強い確信が刷り込まれるのだ。

販促・画面導線に見る「焼肉×居酒屋」の狙い

このファーストオーダーがスムーズに成立している背景には、タッチパネルUI(操作画面)と卓上POPによる緻密な導線設計がある。

従来の焼肉店であれば、タッチパネルのトップ画面には「おすすめのカルビ」や「盛合せ」が並ぶことが多い。しかし「焼肉の和民」では、季節のフェア商品や居酒屋系スピードメニューが目立つ位置に配置されており、客が迷わず1杯目の酒のアテとして注文できるよう工夫されている。

「肉が焼き上がるのをじっと待つ」のではなく、「スピーディーに届く高品質な一品(ユッケ)で即座に乾杯する」。この立ち上がりの速さこそが、居酒屋のノウハウを焼肉店に注入した「焼肉×居酒屋」モデル最大の強みであり、客席の満足度を最速で引き上げる仕掛けとなっている。身内目線で見ても、この初期体験の設計は非常に完成度が高いと評価できる。

第3章:酒飲みの本命「ホルモン」へ——ハツ、レバーと、現場の誤配が生んだ「あさりバター」

スピードメニューと馬肉ユッケで1杯目のハイボールを飲み干したところで、いよいよ卓上の無煙ロースターを使った本格的なお肉の注文へと移行する。ただし、ここで頼むのはご飯のおかずになるカルビやロースではない。「酒を飲むための肉」として最高峰のポテンシャルを持つ「ホルモン系」を中心に組み立てた。

オーダーしたのは「牛ハツ」と「厚切りごま塩レバー」の2品だ。

「酒を呼ぶアテ」としてのホルモンの実力

網の上に肉を載せると、香ばしい煙と音とともに食欲をそそる香りが立ち上る。

  • 牛ハツ:脂肪が少なく、サクサクとした心地よい歯ごたえが特徴。噛むほどに溢れる素直な肉の旨味が、炭酸系のドリンクと抜群の相性を見せる。

  • 厚切りごま塩レバー:角が立った新鮮な厚切りレバー。香ばしいごま油と塩のジャンクな味が施されており、表面を網でサッと炙って口に運ぶと濃厚なコクが弾ける。

炙りたてのレバーをごま油ダレにくぐらせて一口。「これはヤバい、酒が止まらない」と思わず声が出るほどの旨さだ。口に残る濃厚なレバーの余韻をかき消すように、おかわりで注文した「レモンサワー」を流し込む。レモンの爽快な酸味が脂分をリセットし、さらに食欲を刺激する。

卓上ロースターを「居酒屋の調理場」に変えた「あさりバター」の発見

ここで、現場ならではのハプニングが発生した。エイヒレを追加注文したはずが、特急レーンで運ばれてきたのは「あさりのバター焼き」だった。

注文時の押し間違いか現場のピックミスかは定かではないが、オペレーション上の改善点として記憶しつつ、せっかくなのでアルミホイルごと網の上に載せて焼いてみた。これが怪我の功名となり、「焼肉×居酒屋」の新しい可能性を実感させる出来事となった。

無煙ロースターの熱でバターが溶け出し、あさりの出汁と混ざり合ってグツグツと音を立て始める。立ち上る香ばしいバターと磯の香り。焼肉の網の上で居酒屋の出汁メニューが完成していくプロセス自体が、卓上の見事なライブエンターテインメントとなっていたのだ。

グツグツと煮立ったあさりの出汁をひとくち啜り、焼き上がった牛ハツを頬張る。焼肉の設備を使いながら居酒屋の出汁メニューを楽しむというこの体験は、まさに「焼肉×居酒屋」のハイブリッド業態だからこそ成し得る醍醐味であった。

第4章:脂と炭酸の回転率——シマチョウ、翠ジン(梅)、そして低原価で効く塩ホルモン×スパイス

あさりバターの濃厚な出汁とレバーの余韻を楽しんだ後は、さらに脂の強い部位へシフトする。「ガリバタ中落ちカルビ」と「シマチョウ」を追加投入した。

ニンニクとバターの風味が効いたカルビと、網の上でぷっくりと膨らみ脂を滴らせるシマチョウ。シマチョウの脂が火に落ちて立ち上る煙は食欲をそそるが、食べ放題・飲み放題の後半戦においては「脂による食べ疲れ・飲み疲れ」が起きやすいポイントでもある。

香ばしく焼き上がったシマチョウを口に運ぶと、甘みのある脂が口内いっぱいに広がる。その脂をレモンサワーで流し込みつつ、ここでドリンクを「翠ジンソーダ(梅)」へと切り替えた。この選択が非常に効果的であった。

「重い脂×和風ボタニカル」による持続可能な注文ループ

ドリンク種類 合わせるお肉・おつまみ 現場での実際の味覚効果
ジムビームハイボール 馬肉ユッケ、枝豆、オイキムチ タレの濃厚さを強炭酸で立たせるスターター
レモンサワー ごま塩レバー、あさりバター レモンの酸味でレバーの脂とごま油をリセット
翠ジンソーダ(梅) 旭川塩ホルモン、おかわりシマチョウ 柚子・緑茶の香りと梅の酸味で脂分を消し去る

翠(SUI)が持つ柚子・緑茶・生姜という和風ボタニカルの爽やかな香りに、梅の酸味が加わることで、シマチョウの濃厚な脂っぽさが一瞬で消え去る。甘くない爽快系ドリンクのバリエーションが豊富に用意されていることで、重い肉を食べ続けても口の中が重たくならず、次の注文へとスムーズに向かうことができる。

販促的にも優秀な「旭川塩ホルモン×特製スパイス」のフック

さらに追い打ちをかけたのが「旭川塩ホルモン」だ。皿に添えられていた特製スパイスを付けて一口食べた瞬間、その中毒性に驚かされた。

塩気の効いたプリプリのホルモンに、スパイシーで複雑な香草スパイスを多めにつけて口に運ぶと、スパイシーな刺激と肉の旨味が爆発する。「このスパイスをつけるとヤバい」と思わせる卓上での味変体験は、低原価でありながら客の満足度と注文ペースを劇的に跳ね上げる優秀な施策だ。

スパイスの効いた塩ホルモンを噛み締め、翠ジンソーダ(梅)で洗い流す。「塩ホルモン→スパイス→翠ジン」の完璧な循環ループが完成し、満腹感を忘れてグラスが進む最高のゾーンに入った。

第5章:〆と甘味の着地——背徳TKMとWデザートで客満足度はどう終わるか

ホルモンとスパイス、そして翠ジンソーダの黄金ループを満喫し、宴もいよいよ終盤戦へ。最後を締めくくる「〆(シメ)」の選定に入る。

冷麺やビビンバといった焼き肉店の定番商品も並んでいるが、タッチパネル画面で一際異彩を放っていたのが「背徳TKM(卵かけ麺)」だ。合わせるラストドリンクには、和風シトラスの香りが心地よい「翠ジンソーダ(柚子)」を指名した。

「背徳TKM×翠ジン(柚子)」が生み出す〆のインパクト

運ばれてきた背徳TKMは、極太のもちもち麺に濃厚な醤油ダレと生卵が鎮座する、まさにビジュアルからして背徳感溢れる一品だ。

  • 背徳TKMの食味:全体をしっかりとかき混ぜ、タレと卵がドロリと絡みついた麺をダイナミックに啜り上げる。ガツンと効いたタレの出汁感と卵の濃厚さが口いっぱいに広がり、居酒屋の〆として最高の満足感を与えてくれる。

  • 翠ジンソーダ(柚子)の後味リセット:濃厚なTKMを堪能した直後、柚子の爽快な香りが抜ける翠ジンソーダを一口飲む。口の中に残った重たさがスーッと引き、驚くほど上品で爽やかな後味へと昇華される。

「背徳」というインパクトあるネーミングで注文意欲を喚起し、ガッツリとした旨味で満足させつつ、和風ジンの爽快感で後味を整える。この一連の流れは、「焼肉×居酒屋」の〆メニューとして完璧な構成と言える。

ピーク・エンドの法則を攻略する「Wデザート」

TKMを完食した後は、別腹のデザートへ。ここでは妥協せず「口どけミルクプリン」と「ティラミス」の2種類を同時にオーダー(Wデザート)した。

さっぱりとしたやさしい甘さで口内を潤してくれるなめらかなミルクプリンと、ほろ苦いココアパウダーと濃密なカカオの風味がきいたティラミス。さっぱり系と濃厚系という2つの異なるアプローチのスイーツを最後に楽しむことで、肉とお酒で火照った胃と口内が心地よくクールダウンされていく。

心理学における「ピーク・エンドの法則(滞在中の最も盛り上がった瞬間と最後の瞬間の印象が記憶に残る法則)」に当てはめても、この高品質な〆とWデザートによる着地は、退店時の客の満足度を最高値で上書きする上で極めて効果的に機能していた。

第6章:【販促・CX分析】「焼肉×居酒屋」モデルの勝ちパターンと現場オペレーションへの示唆

今回、身内として客目線で「食べ放題スタンダードコース×ワンコイン飲み放題」を一通り体験・検証してみた。

その結果見えてきたのは、「焼肉の和民」が提供する価値の本質とは、単なる「格安な焼肉食べ放題店」ではなく、「総合居酒屋で培ったノウハウと無煙ロースターの融合による、新しいスタイルの焼肉居酒屋体験」だという点だ。

販促・CX(顧客体験)から見る4つの成功要因

今回現場で確認できた「焼肉×居酒屋」モデルの勝ちパターンを、販促・CX視点から4つのコア要素に整理する。

【「焼肉×居酒屋」勝ちパターンのCX構造】

[集客フック]ワンコイン飲み放題 & 食べ放題コース(圧倒的なコスパで集客)
  ↓
[初期体験]スピードおつまみ & 店内仕込みオイキムチ(肉の焼き上がり前の待ち時間ストレスゼロ)
  ↓
[卓上エンタメ]無煙ロースターで仕上げる「あさりバター」等の居酒屋出汁メニュー(体験価値の向上)
  ↓
[満足度の爆発]ホルモン × 特製スパイス × 翠ジンソーダ(低原価味変と爽快リセットの循環)
  ↓
[最高潮の着地]背徳TKM & 居酒屋クオリティのWデザート(ピーク・エンドの法則で記憶を上書き)

1. スピードメニューと手仕込みが生む初期の安心感

注文後すぐに届く枝豆やユッケ、そして手作りのオイキムチが、着席直後の顧客ストレスを排除している。「肉が焼き上がるのをじっと待つ」のではなく「居酒屋として乾杯する」という立ち上がりの速さが、店舗への信頼感を一気に高めている。

2. 卓上ロースターを「居酒屋の調理場」にするエンタメ性

あさりバターのように、網の上でグツグツと煮立てて完成させるメニューは、顧客自身が調理に参加している感覚を生み出す。通常の居酒屋で出されるよりも圧倒的に熱々で香ばしく、焼肉設備があるからこそできる体験価値として機能している。

3. 「低原価スパイス」と「爽快系ドリンク」による循環構造

旭川塩ホルモンの特製スパイスのように、原価を抑えつつ強烈な「味変体験」を提供する仕掛けが秀逸だ。さらに「翠ジンソーダ(梅・柚子)」のような甘くない爽快系ドリンクを揃えることで、重い脂分による食べ疲れ・飲み疲れを防ぎ、ドリンクの追加注文を自然に誘発している。

4. 現場オペレーションの課題と今後の期待

一方で、今回エイヒレがあさりバターに変わる配膳ミスが発生したように、ピーク時のタッチパネルUIや特急レーンのオペレーションには一部改善の余地が見られた。誤配がたまたま満足度に繋がったものの、本来届くべき商品がスムーズに届く精度の向上は継続課題だ。

総じて、「焼肉店」という設備を活かしつつ「居酒屋のワタミ」の強みを存分に掛け合わせたこのハイブリッドモデルは、酒飲み層の満足度を最大化する強力な武器となっている。この実証結果をベースに、販促施策やメニュー導線のブラッシュアップをさらに進めていきたい。

※本記事内にある「ワンコイン飲み放題」は2026年9月17日までで終了しております。次回開催の告知をお待ちください。

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